ピロリ菌治療

乾内科クリニックはピロリ菌の専門施設(ピロリ菌感染症認定医)として、正確なピロリ菌感染診断、除菌治療、除菌後のフォローアップまで、総合的なピロリ菌感染症対策を行っています。乾内科クリニックでは全国に先駆けて1995年よりピロリ菌の除菌治療を行っており、これまで20年以上にわたり数万件のピロリ菌の診療実績があります。保険診療適応外の三次除菌以降の高次除菌や、保険診療では除菌治療が困難なペニシリンアレルギーの人に対する除菌治療も行っています。

ピロリ菌の検査や治療はどこで受けても同じなのでしょうか?

ピロリ菌に感染していても多くの人は自覚症状がありません。検診や保険診療で内視鏡検査を受けたり、人間ドックのオプションでピロリ菌検査をした時に初めて指摘されることがほとんどです。ピロリ菌に感染していると胃がんになりやすいことがわかっているため、ピロリ菌に感染していることが判明した時点で除菌することが大切です。
ピロリ菌の検査や治療はどこで受けても同じなのでしょうか?実は、様々な理由で正しい診断や治療が困難になることがあるため、ピロリ菌に詳しい専門医(ピロリ菌感染症認定医)に診てもらうことが重要です。
ピロリ菌に感染するのはほとんどの場合は幼少期(5歳以下)と言われています。したがって成人の場合は、①幼少期にピロリ菌に感染しなかった人(未感染者)、②幼少期にピロリ菌に感染し、そのまま持続感染している人(現感染者)、③幼少期にピロリ菌に感染したものの除菌治療やその他の要因で既にピロリ菌がいなくなった人(既感染者)の3タイプがあります。ピロリ菌の検査には内視鏡検査時に行うもの(迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法)、血液検査や尿検査で行うもの(抗体法)、それ以外のもの(尿素呼気試験、便中抗原測定法)の合計6種類がありますが、どの検査方法の診断率も100%ではありません。したがって、ピロリ菌に感染しているかどうかを診断するためには、各種のピロリ検査の結果と内視鏡検査による胃粘膜の状態などから総合的に前述の3タイプのいずれかに該当するかを判定する必要があります。そのため、ピロリ菌の診療を行う医師には、各ピロリ検査の特性を正確に理解し、胃粘膜の状態からピロリ菌の感染状態を判定するだけの知識と診断力が求められます。
乾内科クリニックでは、ピロリ菌や内視鏡検査の最新の知見に精通し、ピロリ菌診療の経験が豊富な専門医(ピロリ菌感染症認定医)が責任を持って診断・治療を担当しています。さらに除菌後も、胃がん発生リスクも考慮し、適正なフォローアップを行っています。
正確な診断と治療のためには、時には複数の検査が必要となり時間がかかることがあります。しかし、現在の正確な胃の状態と予想される胃がんリスクを医師と患者で共有して協力しながら治療していくことが、胃がんから身を守る最適な方法と考えます。

ピロリ菌とは何ですか?

ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。オーストラリアのマーシャル先生とウォーレン先生が発見し、その功績で2005年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。胃の中では通常の菌は胃酸により死滅してしまいますが、ピロリ菌は特殊な酵素(ウレアーゼ)で身を守るため、胃の中で生きていくことができます。ピロリ菌が胃の中に長い間感染し続けることによって、胃がんをはじめとする様々な病気が引き起こされます。

マーシャル先生と前院長
(2006年3月16日 東京)

ピロリ菌に関係する病気にはどのようなものがありますか?

ピロリ菌に感染すると、ほぼ全員がピロリ菌感染胃炎(慢性胃炎)になります。そして、そこから胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃過形成性ポリープ・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病などの病気が引き起こされます。胃がんの人の99%がピロリ菌に感染していて、ピロリ菌感染者の約5~6%に胃がんが発生すると考えられています。
日本では2000年に胃・十二指腸潰瘍に対してピロリ菌の除菌治療が保険適用となり、さらに2013年にピロリ菌感染胃炎に対して除菌治療が保険適応拡大されました。

ピロリ菌感染胃炎

胃潰瘍

胃がん

ピロリ菌にはどのように感染するのですか?

自然界ではピロリ菌は水中(井戸水、川)などに存在しています。多くの場合、自身の免疫防御機構が未発達な幼少期(5歳以下)に口からピロリ菌が体内に入り胃に棲み付かれてしまうと言われています(持続感染)。大人になると胃酸などの免疫防御機能が発達するため成人での初感染は少ないと考えられています。近年は日本の衛生環境が良くなり、ピロリ菌の感染率も低下してきています。最近では自然環境からの感染よりも母子感染(経口感染)するケースが多くなっています。

ピロリ菌の電子顕微鏡写真
(提供:大塚製薬株式会社)

ピロリ菌はどうやって調べるのですか?

ピロリ菌の検査には大きく分けて、内視鏡を使う方法と使わない方法があります。内視鏡を使う方法として、内視鏡検査時に胃の組織を少し採取して行う「迅速ウレアーゼ試験」「培養法」「鏡検法」の3種類があります。内視鏡を使わない方法としては「血液や尿を用いた抗体法」「尿素気試験」「便中抗原測定法」の3種類があります。なお、いずれの検査も内視鏡検査などでピロリ菌感染胃炎や胃潰瘍などの病気がないと保険診療で行うことができません。
症状がなくピロリ菌がいるかどうかだけを調べたい方は、血液検査で胃がんのリスクを判定する胃がんリスク検診(胃がんリスク層別化検査)を受けることをおすすめします。

ピロリ菌の除菌治療について詳しく教えてください。

ピロリ菌の除菌治療では3種類の薬(1日2回服用)を1週間続けて服薬します。2015年にカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)(一般名「ボノプラザン」)という新しい胃酸分泌抑制薬が発売され、この薬を除菌治療に用いることで除菌治療の成功率は90%以上に向上しました。1回目の除菌治療が成功しなかった場合は、薬の種類を変えて2回目の除菌治療を行うことが保険診療で認められています。なお、それでも除菌が成功しないケースでは、自由診療にはなりますが3回目以降の除菌治療を行うことができます。

除菌治療の注意点を教えてください。

乾内科クリニックでは、除菌薬の服用終了2ヶ月後にピロリ菌が消えたかどうかの検査(除菌判定)を行います。その際、胃がんができていないかをチェックするために内視鏡検査(胃カメラ)も行います。除菌治療が成功していなければ胃がんになる確率も依然高いままですので、除菌薬を服用した方は必ず除菌判定を受けてください。

なお、2回目の除菌治療(二次除菌)ではメトロニダゾールという薬を使用します。この薬を服用している期間にお酒を飲むと、副作用が強くなり、除菌の成功率が下がると言われていますので、二次除菌を行っている間は絶対にお酒を飲まないでください。

除菌治療に副作用はありますか?

除菌治療の主な副作用として、軟便・下痢・味覚障害などが報告されています。ほとんどは軽微なもので除菌薬服用終了後に改善します。症状が改善しない場合は医師にご相談ください。

ピロリ菌を除菌したあとに胃もたれや胃酸の逆流症状が起きることがたまにあります。これはピロリ菌を除菌することによって胃の働きが改善し、胃酸の分泌が亢進することによって起きると考えられています。ほとんどの場合、症状は軽く治療が必要になることはありません。

ピロリ菌を除菌すれば胃がんになりませんか?

ピロリ菌を除菌することにより胃がんになる危険性が約1/3に減少すると言われています。また、持続感染期間が長くなればなる程、ピロリ菌感染胃炎(萎縮性胃炎)が進行し、胃がん発生リスクが高くなります。そのため、できるだけ若いうちに除菌をした方が胃がんになりにくくなることが分かっています。ただし除菌が成功した後も、ピロリ菌感染により引き起こされてしまった胃粘膜の萎縮(慢性萎縮性胃炎)は完全には元には戻らないため、胃がんになる危険性が少し残ってしまいます。除菌後も1年に1回程度の内視鏡検査を受け、定期的なフォローアップをしてください。